レコードを愛するゲストを毎回迎え、ELLA ONLINE STOREのラインアップから“いま欲しい5枚”を選んでもらうインタビュー・シリーズ“WHAT’S IN YOUR CART?”。
今回は、ドイツのインストゥルメンタル・ヒップホップ・シーンを代表する人気プロデューサー/ビートメイカーのFloFilzさんにお越しいただきました。名門レーベルMelting Pot MusicやJakarta Recordsからリリースを重ね、Alfa Mist、Blue Lab Beats、Jerome Thomasといった気鋭アーティストとコラボするなど、UKのジャズシーンともリンクしながら世界的に活躍するFloFilzさんは、日本にも度々訪れ、ライヴやDJの傍らでレコードのディグも楽しんでいます。今回、AFTER HOURS SESSIONのDJパフォーマンス収録後にELLA RECORDS VINTAGEで選んでくれたのは、自身の音楽性と密接にリンクした“納得の5枚”ともいえるラインアップ。インタビューでは、海外アーティストの視点から見た日本のレコード文化についてなど、興味深い話も色々と伺うことができました。
FloFilz - AFTER HOURS SESSION
ELLA ONLINEのライヴ動画シリーズ“AFTER HOURS SESSION”に、DJとBeat Liveをミックスした60分のスペシャルセットで出演してくれました。
Interview & text: Mikiya Tanaka (ELLA RECORDS)
Photo: KenKen Ogura (ELLA RECORDS)
Furniture design & production, Interior coordination: "In a Station"
Special thanks to: Satoshi Atsuta
FloFilzの“いま欲しい5枚”
①Larry Ridley / Sum of the Parts(1975)US original
今回は僕がリスナーとして大好きなレコードを異なるジャンルから5枚選んでみたよ。Larry Ridleyのこのアルバムは、過小評価されてる気もするけど本当に美しいよね。それにベーシストのリーダー作だから、普段はあまり前面に立つことのないベースが中心に据えられているのも好きなポイントなんだ。そしてもちろんStrata-Eastの作品であるということも。すごくユニークなサウンドの伝説的なレーベルだし、僕はスピリチュアル・ジャズの要素がミックスされたものが大好きなんだよね。このアルバムにはスピリチュアルなヴァイブスが間違いなくあるよ。それにジャケットも最高だ。Nujabesがこのアルバムの「Feelin’ Blue」をサンプリングしてるのもクールだよね。
②古沢良治郎クワルテット / ラッコ (RACCO)(1977)JPN original
これは僕が初めて知った和ジャズのレコードなんだ。たしか当時、新しい音楽を探そうと思って、YouTubeで色々聴いてる中で見つけたんだと思う。ジャケットもすごくキュートだよね。それで聴いてみたら、とてもユニークなサウンドだと思ったんだ。僕はフェンダー・ローズの音が大好きなんだけど、このアルバムにはローズとサックスの素晴らしいトラックがあるし、楽曲自体もとてもいい。あと、サウンドだけじゃなく、レコーディングも素晴らしいよね。和ジャズって全般的にミキシングや音質がすごくハイクオリティだと思わない? 自分の部屋で聴いてても、いつもライヴを体験してるみたいに感じるんだ。
このアルバムは、初めて日本に来た時にレコードを探したんだけど、その時は結局見つからなかったんだよね。でも、前回来た時についに大阪でオリジナル盤を見つけたんだ。ただ、ものすごく高かったから、その時は買わずに店を出ちゃって。でも翌日になって、なかなか出会えないレア盤だし、他の人が買っちゃうかもしれないし・・なんて考えたら、「やっぱり戻らなきゃダメだ」って思って。それで奮発して買ったんだ。このアルバムは再発盤も持ってるけど、僕にとって特別な作品だから、やっぱりオリジナルで持っておきたかったんだよね。だからELLA ONLINE STOREにもオリジナルがあるのを見て、感慨深かったよ。
それに、このアルバムは僕とある友人を結び付けてくれた作品でもあるんだ。彼は大阪に何年か住んでるフランス人で、このアーティストも和ジャズも大好きだったんだけど、このアルバムのことは知らなかった。それで僕が教えてあげたら、彼にとってもフェイヴァリットの1枚になったよ。
③Banda Black Rio / Gafieira Universal(1978)Brazil reissue
ブラジル音楽とファンクやソウルなどの異なるスタイルがミックスされたアメイジングなレコードだね。極上のダンスミュージックだから、今もDJでみんなを躍らせたいときにはプレイしてるよ。アップビートな曲だけじゃなくて、スムースな曲も素晴らしいしね。
近頃はブラジル音楽にハマってて、買うレコードもブラジルものが多いんだ。ブラジル音楽はすごく多様性があるし、発見に満ちていて、あらゆるジャンルの中でもベストなもののひとつだと思うよ。たとえ言語がわからなくても、エモーションやグルーヴを感じられるからね。先月リスボンに行った時にもいいブラジルのレコードを見つけたけど、いつかはブラジルにも行ってみたいな。このアルバムはかなりレアだから、リイシューですらもなかなか見かけないよね。Banda Black Rioは、オリジナルメンバーの息子たちが引き継いで今も活動を続けてるんだ。だから、もしドイツでライヴをやってくれる機会があったら絶対観に行きたいね。
④De La Soul / Stakes Is High(1996)US original
ヒップホップも1枚選びたかったんだ。このアルバムは、僕が絶大な影響を受けたJ Dillaのプロデュース曲が入っていることもあって、金字塔のひとつだね。ビートメイクを始めた頃にこのアルバムを聴きまくってたんだけど、ここに収められたビートは僕自身のエクササイズにもなったよ。最高のビートが詰まってて、様々なインスピレーションを与えてもらった。それに、ヒップホップとジャズを結び付けた作品でもあって、例えばRobert Glasperがこのアルバムのタイトル曲をカヴァーしてるよね。互いのジャンルがインスパイアし合って、ジャズ・ミュージシャン側がヒップホップの曲をカヴァーするなんて、最高にクールだと思わない?もはやそれほど伝説的な作品なんだよね。サウンド・プロダクションもラップも素晴らしいタイムレスなレコードだよ。
⑤山下達郎 / IT’S A POPPIN’ TIME(1978)JPN original
日本の人たちにとっては、ジャパニーズ・ポップ界の超レジェンドっていう感じなのかな。ヨーロッパでは“City Pop”っていうジャンルの呼び方でここ数年で人気が出たんだ。あ、日本でも使われてるワードなの? いずれにせよ、このジャンルには素晴らしい音楽が山ほどあるよね。ジャズとかファンクとか、色んな要素がミックスされたサウンドとエネルギーが大好きなんだ。シティポップって、アメリカの音楽からの影響が大きいと思うけど、それだけではないムードがあるよね。言葉にするのが難しいけど、影響を受けたものにちゃんと自分たちの新しい要素をプラスしているというか、異なるものをブレンドする実験精神があるというか。シンセやギターの音使いだったり、ヴォーカル・スタイルだったり。よくわからないけど、とにかく僕にとっては“キモチー”音楽なんだ。
実は、このアルバムは去年日本に来た時に友人がプレゼントしてくれたから、もう持ってるんだよね。僕の心の中では特別な位置にあるアルバムで、特に「Solid Slider」が大好きだよ。最高のサックス・ソロが入った素晴らしいライヴ・ヴァージョンで、『SPACY』に入ってるオリジナルより好きかもしれない。もちろん『SPACY』も大好きだけどね。参加ミュージシャンも日本のレジェンダリーな面々だし、今回の選盤に入れるのは理に適ってると思ったんだ。これ以外にもシティポップは色々と掘ってきたけど、いまだに発見が多いよ。
Interview: FloFilzとレコード
━━レコードとの出会いを教えてください。
FloFilz:両親がクラシックの音楽家だったから、音楽に囲まれた環境で育ったんだ。父はジャズやブラジル音楽も聴いてたから、そういうレコードも家にあった。子どもの頃はレコードはただ眺めてるだけだったけど、大きくなって一人暮らしで引っ越すタイミングで、父がレコードを少し分けてくれたんだ。そこからレコード熱が高まっていった感じだね。
━━現在レコードショップに通う頻度は?
FloFilz:しょっちゅう行くよ。僕が住んでるベルリンには、月に2、3度通うような顔なじみのレコードショップがいくつかあるからね。友人がベルリンに遊びに来る時とか、初めてベルリンを訪れる知人と会う時なんかはレコード屋を案内するから、実際はもっと行ってるかもしれない。あと、ツアーや旅行の時には必ず現地のレコードショップに行くようにしてるんだ。旅先で買ったレコードって、旅の記憶と結びつくでしょ? 後でそのレコードを聴いた時に「ああ、これは東京で買ったな」とか「ポルトガルで買ったな」とか、そういう思い出とリンクするのが嬉しいんだ。だからレコードショップにはよく行くよ。
━━ベルリンにも東京くらい多くのレコードショップがあるんですか?
FloFilz:間違いなく東京ほどはないね。でも、ドイツの他の都市と比べたら、たぶんベルリンが一番なんじゃないかな。もちろん首都だし、大都市だからっていうのはあると思うけど、色んなジャンルのいいショップが揃ってるよ。みんなベルリンと聞いてまず思い浮かべるのはテクノだよね? でも実はベルリンにはあらゆるジャンルの良質なシーンが存在してるんだ。ヒップホップ・シーンもかなりいい感じだよ。あとはライヴも盛んな都市で、ジャズとかファンクとか、色んなジャンルのライヴ・シーンがあるんだ。
━━ちなみに、いわゆるクラウトロックのドイツ国内での人気ってどうなんですか? 日本では今も熱狂的なファンがいたり、後進に大きな影響を与えた音楽としてリスペクトされてます。
FloFilz:正直そこまで人気はないかもね。もちろんCanとかは有名だけど、ドイツでの人気が日本ほど高いのかはわからないな。実際、僕もそんなにたくさんのアーティストを知ってるわけじゃないし。でも、サンプリングソースを探している中で素晴らしいクラウトロックに辿り着くこともあるよ。だから、そういうレコード発掘を通じて再発見・再評価されてる部分は多少あるかもしれない。ただ、大きなうねりではないよ。もしかしたら、日本人アーティストでも日本より海外人気の方が高い人っていうのがいるかもしれないけど、僕らにとってのクラウトロックも感覚としてはそれに近いかな。
━━いま所有しているレコードの枚数は?
FloFilz:ちゃんと数えたことはないんだけど、たぶん1000枚前後じゃないかな。家に大きいレコードラックがあるんだけど、もう埋まってきちゃってるから、拡張しなきゃいけなくて。そうしたらもっと増えるだろうね。前回日本に来た時も100枚以上買って帰ったから、持ち帰るためにスーツケースを買い足さなきゃならなかったよ(笑)。今持ってるのはLPと12インチがメインだけど、最近は前より7インチも買うようになった。7インチなら旅先から持ち帰るのもDJに持って行くのも楽だからね(笑)。あとは単純に7インチというフォーマット自体がクールで好きなんだ。
━━レコードコレクションはどのように管理してるんですか?
FloFilz:なるべくジャンルとか国ごとに分けるようにしてるよ。アルファベット順とかにはなってないけどね。UKのセクションがあって、ブラジルのセクションがあって、和ジャズとそれ以外のジャズは分けてあって・・みたいな感じだね。ジャンルの割合でいうと、全体の6割くらいがジャズだと思う。
━━ジャズはいつ頃から聴くようになったんですか?
FloFilz:父が時々ジャズのレコードをかけてたのがきっかけのひとつだね。それともうひとつ思い出すのは、家にカシオかどこかのキーボードがあって、そこにボタンを押すと再生できるプリセットのデモソングみたいなのが入ってたんだけど、その中にジャズ・ファンクっぽいものがいくつかあったんだよね。それが好きで、子どもの頃いつもボタンを押して聴いてたんだ。その頃からすでにそういうスタイルの音楽に何かしらの魅力を感じていたんだろうね。その後、ヒップホップを聴くようになってからは、サンプリングソースとして色んなジャズを知って、そこからさらに深くハマっていった感じだね。
━━自分で音楽を作り始めたのはいつ頃ですか?
FloFilz:初めて手にした楽器はヴァイオリンなんだ。今も弾くけどね。4歳くらいで始めて、最初は弾いてるだけだったけど、途中からヴァイオリンで作曲もするようになった。ビートメイクを始めたのは2011~12年くらいだね。まずAKAIのMPC2000を買ってあれこれトライしてみて、すぐにRolandのSP-404も手に入れて、コンピューターとサンプリング・キーボードで曲を作るようになった。
ビートメイクに興味を持ったのは、15、6歳の頃にリスナーとしてヒップホップにのめり込んだからだね。A Tribe Called Questみたいなジャジーなビートに強く魅了されて、その後Pete Rock、J Dilla、Madlibみたいなインストのビートを作るアーティストにもハマって。当時、すでにドイツにもインストのビート・アーティストが多少はいて、僕が今リリースしてるMelting Pot Musicから作品を出してたから、それも聴いてたよ。だから僕は、自分でビートメイクを始める前からこのレーベルのリスナーだったんだ。たとえば、ジャズ・サンプルだけでビートを作るDexterっていうアーティストとかね。ちなみに、Disk Unionの店内の壁って色んな名盤のジャケットがプリントされたデザインになってるでしょ? その中に彼のアルバムのジャケットがあるのを見つけて超ビックリしたよ(笑)。まさかドイツのビート・レコードのジャケットが使われるなんてね! あと、ドイツだともうひとり、Hubert Davizにもかなりインスパイアされた。彼みたいなジャジー・ビートを作れる人は他にいないと思うよ。そんな感じで、最初はとにかくたくさんのビートを聴きまくって、自分でもそれに似たものを作るっていうトライから始めたんだ。
━━オリジナル盤へのこだわりはありますか?
FloFilz:強いこだわりはないかな。さっきも話したように、すごく思い入れのある作品で、これはオリジナル盤で持っておきたいっていうものはあるけどね。とはいえレコードショップでオリジナルをハンティングすること自体は楽しいし、レア盤のオリジナルをやっと見つけたときは興奮するよ。やっぱりオリジナル盤を所有するっていうのは特別なことだと思う。でも、僕はリイシューでもそこまで気にしないね。リイシューでもクオリティの高いものはたくさんあるし。まあ、中にはリイシューの音質が悪くて、あとからオリジナルを探すケースもあるけどね。でもやっぱりオリジナルよりずっと安く手に入るリイシューの存在はありがたいよ。
━━今のレコード・ウォントリストのトップは?
FloFilz:Martti Pohjalainen Trioの『Sauna Jazz』(1974)っていうフィンランドのジャズ・レコード。半裸のオッサンがサウナの道具を持ってるヤバいジャケットなんだけど(笑)、楽曲は最高なんだ。かなりレアでまだ見つからないんだよね。
もう1枚は、Robert Wotherspoonの『Music to Massage Your Mate by』(1976)っていうアメリカのイージーリスニング系のレコード。これもオッサンが女性をマッサージしてる珍奇なジャケットで、中面にはマッサージの仕方の解説が写真付きで載ってるんだけど(笑)。これもかなりレアだね。
あとはアーティスト名がパッと出てこないけど、和ジャズのレコードにも探してるものがいくつかあるよ。
━━いま特に探していたり、ハマッているジャンルはありますか?
FloFilz:さっきも軽く話に出たけど、ブラジル音楽にはかなりハマってて、レコードも色々探してるよ。Banda Black Rioみたいにファンキーなものから、DjavanみたいなMPB、クラシックなボサノヴァまで、ブラジル音楽はかなり多様で面白いよね。あとは和モノも色々と。和ジャズやポップスだけじゃなく、いいドラムが入ってるロックとかサイケも探してるし、アンビエントやエクスペリメンタル系も聴くよ。和モノに限らず、最近はアンビエント寄りのものにもハマってるね。
━━ビートメイカー界隈で今アツいジャンルとか、トレンドの変化はあったりするんですか?
FloFilz:それはかなり難しい質問だな。個人の好みによるところが大きいからね。まあ、なんとなくジャズやブラジル音楽を中心にサンプリングしてるプロデューサーやビートメイカーが多い印象はあるけど、すでにかなりの音源が使われちゃってるから、今はもっと幅広いジャンルやマイナーなものを探してる人が多いんじゃないかな。たとえばサイケやプログレあたりもそうだし、シティポップみたいな日本の音楽もサンプリングソースとしてさらに人気が出るかもしれない。でも、やっぱりトレンドを答えるのは難しいな。Alfa Mistみたいな大人気のビートメイカー達は、本当に幅広いジャンルからサンプリングしてるし、マイナーなものも含めて常にあらゆる音源をチェックしてるからね。
━━日本に来た時にはどんな音楽をメインで探すんですか?
FloFilz:ドイツやヨーロッパでは手に入れづらいものを中心に探すよ。だからやっぱり和ジャズとかが多いかな。和ジャズも少しくらいレアな盤だったらヨーロッパでも見つけられる可能性はあるけど、それでも値段は日本よりだいぶ上がっちゃうからね。
あとは70年代とかの古いアニメのサントラもチェックするよ。ルパンみたいに有名なものはもちろん、ヨーロッパではあまり知られていないアニメのサントラでも、すごくファンキーだったりジャジーでカッコいいものがあるでしょ? 僕はアニメにはあまり詳しくないし、日本語も読めないから、ジャケットの雰囲気とか楽器のクレジットとかで感覚的に選んだり、試聴して決めるんだけど、そうやってクールなサントラに出会えたことがこれまでも結構あるんだ。
でも、日本の音楽に限らず、どのジャンルでも日本のレコードショップの品揃えは素晴らしいと思うよ。しかも、ヒップホップとかブラジルとか、各ジャンルに特化したお店も多いから、色んないいレコードが見つかるしね。今回はスーツケースに余裕があるから、まだまだ持って帰れるよ(笑)。
━━他にもレコードショップについて日本とヨーロッパで違いを感じることはありますか?
FloFilz:なんといっても日本はレコードショップの数が違うよね。だからレコードの量も多いし、全般的な品揃えの充実ぶりはヨーロッパとは比較にならないよ。それに日本は商品がきっちり整理されてる。例えばジャズでも、ピアノとかサックスとか、ちゃんと楽器ごとにセクションを分けて陳列しているお店が多いでしょ? ヨーロッパでそこまでしてるところは少ないと思うよ。
あと感じるのは、日本にはレコード文化が定着してるっていうことかな。日常的にレコードショップに行く人が大勢いて、ヨーロッパよりもカルチャーとしての規模が大きいと思う。数日前も、ランチタイムにビジネスマンがレコードを物色しに来てるのを目撃したし、高齢の男性が短時間にたくさんのレコードを買っているのも見た。そんな風に仕事や世代を問わずにレコード愛好家がいるっていうのは、すごくスペシャルなことだと思う。日本にはレコードのミュージック・バーも結構あるしね。ヨーロッパにはそういうところが全然なかったけど、逆に日本にインスパイアされて、この3、4年で新店がオープンしてきてる感じかな。レコードショップ自体も少しずつ増えていて、ヨーロッパは今まさにレコード再評価の途上にある感じがするね。
━━FloFilzさんにとって“良いレコードショップ”とは?
FloFilz:個人的には、ヴィンテージ・レコードと一緒に新譜も多少置いてあって、セレクションがいいお店かな。あとはもちろん雰囲気がいいこと。お店の人に情熱があって、新着のレコードを喜んで見せてくれるようなところだね。逆に、店主が不機嫌そうだったり、怒られたり、お客さんとの会話を嫌がるような店はちょっとね・・。
そういえばちょうど昨日Oliver (von Felbert; 一緒に来日していたMelting Pot Musicの代表) と話してて、レコードショップの周りにコミュニティがあるのはいいよねってことで彼と意見が一致したんだ。お店が人々の出会いの場となって、ある種の音楽シーンが形成されるような、そんな役割を担っているお店も“良いレコードショップ”と言えるだろうね。