- 今回のAFTER HOURS SESSIONは<TSUBAKI fm × Higo Beat>とのスペシャルコラボレーションです。 熊本県のインディペンデントなオーディオブランドであるHigo Beatのスピーカーでプレイした感想はいかがですか?
このスピーカーは、低音はしっかり反響して分厚く、高音・中音はきめ細かく出てくるっていう、そのバランスが美しいですね。音の出方もまっすぐで張りがある上に、やわらかさと暖かさも併せ持っていて、レコードの音色と相性がいいと感じました。環境的にも反響的にも気持ちよくDJさせてもらいました。オーディオ周りの材質として、木材は例えば針のカートリッジに噛ませていたり、フロアの壁に貼り付けて反響をコントロールしたりと、音空間に感度が高いシーンでよく目にします。そう言った意味でも今の個人的な関心ともリンクしていて、興味深いスピーカーだと感じました。
- 今回のミックスに込めた思いやアイデアについて教えてください。
Midori Aoyamaさん (TSUBAKI fm) からこの企画のお話をいただいた時に、木がたくさんあって太陽の光が入るELLA RECORDSの店内の雰囲気と、そこにHigo Beatの綺麗な木目のスピーカーが設置されたのを想像して、今回は「木」をテーマにしようと思いました。木は身近なプロダクトとして日常に存在するものでもありつつ、すごく神秘的な存在でもあると思うんですね。地球で太陽が昇ってから暮れてゆくまでの大きな循環を感じさせてくれる存在というか。それで今回は、木をテーマに、その周りを取り巻く太陽、水、風、土、生物などをイメージしてレコードを選びました。普段はディスコをメインにやっていますが、今回はジャンルのカテゴライズを取っ払いたいという気持ちがあったので、極力フィーリング重視です。すぐにかけたいレコード達が集まってきました!
- 今日プレイした中で、特にかけたかったレコードや皆に紹介したかったものがあれば何枚か教えてください。
全部好きなので迷うんですけど、まずはJorge Padinというラテンパーカッション奏者の『Invitacion』というレコードです。Herbie Hancock「Chameleon」のカバーが入ってるんですけど、この方のバージョンは本当に木にカメレオンが登ってくるような雰囲気でいいなと思ってかけました。
もう1枚は、Chico Hamilton「Mysterious Maiden」の12インチです。12インチは珍しいと思うんですけど、音がめちゃくちゃいいのと、すごく大事な人にプレゼントしていただいて思い入れが強い曲なので、今日は序盤でプレイしました。
- レコードでDJをやることの魅力はどんなところにあると思いますか?
一枚のレコードをプレイする時、それまでにはたくさんのプロセスがあり、感情や記憶が入っていることかなと思います。
レコードは暮らしの成果です。お花やコーヒー豆やTシャツを買うことと同じく、暮らしのサイクルの中の彩りでありながら、不思議な巡り合わせを常に色濃く感じさせてくれる存在です。わたしの生活そのものというか…。それらをパーティ毎にレコードバッグという限りのあるスペースに詰め込んで運んでいって、うれしい縁で居合わせる人たちと対話しながら、ジャケットを手で触って一瞬一瞬の感覚で選んだ音を共有して…有限なのがおもしろいし、選択の連続の中にロマンを感じます。今日はどんな人とどんなレコードと縁があるかなって、本当に毎日ワクワクだし、喜んでいますよ!魅力は満載。
- MOEさんは、以前AHSにも出てくれたBIBさんとのDJユニットBIBMOEとしても活動されてますよね。ソロの時とユニットの時でご自身のDJスタイルやマインドは大きく異なりますか?また、BIBさんからポジティブな影響を受けることも多いですか?
マインドは変わりないです。スタイル的にはタイム感、質感がソロとは変わるかなと思い、その違いを楽しんでいます。
ソロのプレイは12inchを中心に、スムースにじわじわ展開し、心地よく解放的なグルーヴをつくっていくことが多いです。ユニットのプレイは、BIBちゃんのテンポ感で想像以上の返しがあったり、それでわたしもたのしくなって、テンションも上がってくる。そのうち2人の掛け合わせで活きのあるグルーヴができあがっていく感じですかね。
BIBちゃんは、レコードへの熱量と知識量がしっかりある上に、感性もいいバランスで持ち合わせています。本当に音楽が大好きな人なんだと常々感じるし、いつも刺激を受けてリスペクトしている大切なパートナーです!
- DJ活動以外で、あなたのクリエイティビティを刺激するものは何ですか?
暮らしの全てと思います!
オフはサーフィンに行ったり、自転車にのって気ままにレコ屋や公園や美術館へ行ったり、美味しいものを食べたり、人に会いに行ったり…ゆっくり家で本を読んで過ごしても、温度や湿度、香りで、季節を感じて暮らしているし、そのすべての体験が安らぎであり感性を育てていると感じています。
でもその穏やかな日々と共に、生きていれば世の中に、私自身に、いろいろなことが起こるけれど、その全てから学びや気づきを得ます。どう生きていきたいのかとどんなDJでありたいのかはイコールと感じていて、自分の道を歩んで目指していくこと自体、クリエイティビティそのものと思うし、自分を救済する唯一の手段のようにも感じています。
- あなたにとって、DJとして大切なマインドとはどんなものですか?
ニュートラルでありたいですね。
- DJとしてのキャリアをこれから始めようとしている方々に向けて、何かアドバイスはありますか?
自分の内から湧き出る本当の心で、まっすぐ素直に楽しいことをワクワクすることを一緒にやっていきましょう!そして続けていきましょう!
きっと素晴らしい瞬間や人や音との出会いがたくさん待っていますよ^^
- 2026年はどのような計画がありますか?
キャリアが丸10年を迎えます。
自分のDJってどんなものか、プレイヤーとして一旦しっかり捉えたいという気持ちがあります。加えて今、音響に関してや国内外のクラブシーンの過去現在について関心が高まっているので、知りたいことを知る1年を過ごせるといいです。そしてそこからまた、次の新しい10年へのステップをよりクリアにして、踏み込もうかなぁと企んでいます!