AFTER HOURS SESSION

Pharakami Sanders - Ghetto House / Baile Funk Vinyl Only Mix

- 今回のミックスに込めた思いやアイデアについて教えてください。

いつも通りのセットをやれたらと思いました。

ただ収録の前に一度ELLA RECORDSに遊びに来させてもらったのですが、何というか、このお店の雰囲気に(DJの内容を)引っ張られそうだなって思って(笑)。

前半はその雰囲気に呑まれつつも、当日の空気感と自分のスタイルのバランスを探りながら、最終的には普段に近いセットに落ち着いたと思います。 


- 途中から徐々に猥雑さが増してきて、Pharakamiさんの持ち味が発揮されてましたよね。

そうですね。

中盤ぐらいから良い流れでブーティーなムードを作れました。

普段はこのままBPMを上げていって最後はジューク/フットワークでピークを作るようなセットが多く、今日も収録があと1時間あったらジュークまでいってたと思います(笑)。


- 今日プレイした中で、特にかけたかったレコードや皆に紹介したかったものがあれば何枚か教えてください。

まずはDJ Marlboroが監修した『Funk Brasil Especial IV』。80年代後半~90年代前半の初期バイリ・ファンキをずっと集めてた時期があったんですけど、これは94年に出たファンキコンピです。今日のセットではハウスから抜けた後くらいにかけたと思うんですが、めちゃめちゃヴァイブスがすごくて。現地の独特なラップのノリと、良い具合にいなたいシンセがビートとうまく混ざってて好きでよくかけてます。

次はButter Notesというレーベルから出たDJ Technicsプロデュースのボルチモア・ブレイクスの再発盤2枚です(『Butter Notes 1』『Change Positions / Party People』)いい意味でアホというか、思い切りが良い音楽にとても憧れます。

このレコードの売り上げの3分の1がボルチモアの恵まれないお子さんたちにAbleton Liveの使い方を教えるチャリティ団体に寄付されるみたいなので、よかったらみんな買ってあげてください。アホなトラックで社会貢献できます。

最後は、Interstellar Forceの『Star Wars Theme』。スター・ウォーズのテーマのマイアミベースみたいなやつです。Todd Terry(の変名)のリミックスが入ってます。これは誕生日プレゼントにD.J.G.O.さんから頂いたお気に入りの12インチです。


- シカゴのゲットー・ハウスやブラジルのバイリ・ファンキなど、猥雑なムードのダンスミュージックに惹かれたきっかけは?

2010年ぐらいにシカゴのジューク/フットワークに出会ったのがきっかけで、そこから歴史を遡る形でシカゴハウスやゲットーテックに出会い感銘を受けました。

限られた機材や暗黙のルールの中で自分たちの音楽を追求していて、そのDNAがしっかり後世に受け継がれながら進化を続ける面白いジャンルです。

地元の友達と「昨日俺が作ったやつ聴いてみて~!」「ええやんええやん!」みたいな微笑ましい会話が想像出来るのも好きな理由かもしれません(笑)。

一見誰でも作れそうな感じに聴こえますが、まさに「店外不出の100年継ぎ足し秘伝ダレ」のような、このシカゴ特有のノリは簡単には再現できない。そのギャップも魅力のひとつだと思います。 

僕が尊敬するシカゴのアーティスト<TRAXMAN>が言ってたんですが、「ゲットー」って言葉は住んでる場所とか経済状況のこともあるけど、音楽に対するハングリー精神とかポジティブな意味で使ってるって言ってて。私が軽々しく言えるワードではないとは思うけど、音楽に対してひたむきに貪欲である姿勢も含まれているジャンルだと感じています。

ブラジル初期ファンキが好きなのも同じような理由で、80年代後半にエレクトロとかマイアミベースに影響を受けたブラジルの若者が地元のノリで作った音楽だと認識していて。ジャンルが確立されるまでの初期衝動溢れる80s後半〜90s中盤のリリースが特に好きで集めています。


- Pharakamiさんから見て、現在の日本におけるこういったジャンルの盛り上がりはどうですか?海外と比べてシーンの規模感や客層の違いは感じますか?

日本のfootworkシーンでいうと、D.J.FulltonoさんやOyubi君を筆頭に、各アーティストがシカゴをリスペクトしながらも、日本独自の進化を遂げていてとても面白いなと思います。

私が運営しているレーベル<KSW>も、「シカゴで生まれたジューク/フットワークのエッセンスを受け継ぎつつ、日本ならではの感性と実験的なアプローチを融合する」ということをテーマの1つにかがけていて、所属アーティストのD.J.G.O(SAUCEMAN)やSatanicpornocultshopもまさにそういう音楽を体現している。

あと日本にはフットワークダンサーが数多くいるのも特徴で、かなりシカゴ現地に近い形で独自発展していると思います。

東京では毎月原宿の「ヨムキクノム」でダンサーとDJが集まって<OPEN CIRCLE>というイベントが行われています。

シーンとしては一時期の盛り上がりから少し落ち着いていますが、世界的に見ても日本のフットワークシーンはかなり面白い発展を遂げていると思います。


- 日本でこういったジャンルのレコードを探すのにオススメのショップがあれば教えてください。

新譜は昔から大阪の<naminohana records>で購入する事が多いです。さっき紹介したButter Notesの12インチもnaminohanaで見つけましたし、今日プレイした新譜の大半はそうかもしれません。今は東京に引っ越したのでなかなか行けてませんが、変わらずWEBはずっとチェックしています。

旧譜は下北沢にある<pianola records>店主の國友さんから紹介頂くレコードがいつも刺激的で面白いです。


- レコードでDJをやることの魅力はどんなところにあると思いますか?

今はデータでプレイする事がほとんどですが、レコードしかリリースされていないゲットーテックや初期ファンキなどはレコードでかけます。その時に思うのは、実際にジャケットを手に取って盤を取り出す、針を置いて音を出すという行為はやっぱり気持ちが乗るし、フロアにも伝わってるのかなと思います。


- DJ活動以外で、あなたのクリエイティビティを刺激するものは何ですか?

最近は週に2日ほど、FootworkダンサーのJunya君(Chikob)と一緒に、早朝6時半から近所の公園で行われているラジオ体操に参加して、その流れでフットワークダンスの朝練をしています。 

健康のために体を動かしたいというのもありますが、さっき話していた“シカゴ秘伝のタレ”がフットワークダンスのグルーヴの中にもあるんじゃないかと思っていて、このノリを習得することで音楽制作に変化が生まれたら面白いなとも思っています。 


- DJとしてのキャリアをこれから始めようとしている方々に向けて、何かアドバイスはありますか?

とにかくやってみる。パーティーに遊びに行って同じ趣味の仲間を見つけて何か始めてみたり、家でDJ MIXや音源制作をして発表してみたり、動いてみると何か良いリアクションがあると思います。今の自分が出来る最大を形にして残しておく、発表するのが大事だなと思います。


- 2026年はどのような計画がありますか?

夏頃に自分のアルバムをKOOL SWITCH WORKSからリリースする予定です。

他にも国内外の仲間のリリースがいくつか決まっているので、そちらも楽しみにしていてください!

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Pharakami Sanders

東京を拠点に活動するDJ/プロデューサー。
2012年にレーベル〈KOOL SWITCH WORKS〉を設立。シカゴ発祥のジューク/フットワークのエッセンスを受け継ぎつつ、日本独自の感性と実験性を融合した作品などを発信している。
2020年にゲットーテックとエクササイズに焦点を当てた1stアルバム『Dynamic Exercise』、2021年にGuchonとのスプリット12インチ『Summer Cutz』をリリース。
また、2023年にはZEN-LA-ROCK「継続はPARTY」のプロデュースを手がけるなど、ジャンルを横断した活動を展開している。
2026年にJuke / Footworkに焦点を当てた2ndアルバム『WAVE OF KOOL AIR』をリリース予定。