AFTER HOURS SESSION

Enrico Vivaldi

- 今回のDJセットのテーマやアイデアについて教えてください。

少しプログレッシブな感じにしたいと思っていました。それがここ1年ほど僕が発展させてきたスタイルなんです。それに、スムースでクラブ向きでありながら、同時にエレガントで良いエネルギーがあるようなものにもしたかったです。

- 今日プレイした中で、あなた自身が特にかけたかった曲や皆に紹介したかった曲はありますか?

しばらく前に買ったもので、自分にとって本当に特別な1枚があります。Antixの『Lull』という2枚組アルバムで、2000年代初頭の作品です。その雰囲気が大好きなんです。収録されている曲はすべて素晴らしいと思います。プレイするとすごくスムーズなんですよ。だから、今日はこれをかけるのを本当に楽しみにしていました。

もう1枚は、今まさに夢中になっているレコードです。ここ最近は毎回のようにプレイしていると言わなきゃいけないですね。“2001”というレーベルからリリースされたAtropin Projektの『Plusier』という作品です。今日かけた曲のほとんどは2000年代初頭のもので、自分はその時期こそ、プログレッシブが世界中に広がり始めた最高の時代だったと思っています。そしてこのレコードは、自分にとって本当に大きな意味があります。たくさんの良い感情を与えてくれるんです。少しメンタルな感じというか。ずっとボーカルのようなフレーズが流れていて、人を旅へ連れていってくれるような一枚だと思います。

- 実はあなたは東京生まれなんですよね。何歳ごろまで暮らしたんですか?

残念ながら本当に短い間だけです。両親が仕事でこちらにいて、僕は3歳になるまで東京に住んでいました。そこからイタリアのミラノに引っ越して、そこが自分のホームになりました。

- 日本を訪れるのは今回で何度目ですか?

今回が初めてです。生まれ故郷の日本に来られて、自分の音楽をプレイできるなんて夢のようです。こうして音楽への情熱のおかげでここに戻ってこられたことは、自分にとってこれまでで最高レベルの喜びのひとつですね。

- 日本に対する特別な思い入れはありますか?

すごくあります。実は僕の自主レーベルの名前は「Reibu」というんです。“rave” という意味ですね。日本のカルチャーは自分の人生にずっと影響を与えてきたと思っていますし、本当に特別な存在なんです。だから、そのカルチャーを少しでも広めたいと思っていて、レーベル名の「レイブ」も自然に浮かびました。

- DJとしての目線で、日本のレコードカルチャーやクラブシーンについてどう思いますか?
昔から日本のカルチャーや音楽に惹かれてきました。日本ならではのアプローチには本当に独自性があると思いますし、その洗練されたサウンドはすぐに感じ取ることができます。

これまで出会った日本のDJたちは皆、とても洗練された感性を持っていて、選曲や空間づくりに対する細やかなこだわりが印象的でした。

音楽的なアイデンティティに対して、深い情熱と丁寧さを持って向き合っている姿勢をとても尊敬しています。


- 一方、イタリアのレコードカルチャーやクラブシーンの現状はどんな感じですか?

イタリアは昔から強い音楽的アイデンティティを持ち、クラブカルチャーとも深く結びついている国だと思います。

今のシーンは進化の途中にあり、才能あるアーティストや新しいプロモーター、そして本物の何かを生み出そうとしているコミュニティが数多く存在しています。

同時に、レコードディグや音楽探求のカルチャーを守っていくことも大切だと感じています。そうした姿勢こそが、DJに深みや個性を与えるものだからです。

イタリアには素晴らしい可能性があります。伝統と創造性は昔から私たちのDNAの一部であり、その二つが重なり合った時、本当に特別なものが生まれると思います。


- レコードでDJをすることの魅力はどんなところにありますか?

ヴァイナルには、実際に手で触れられる希少な“モノ”としての魅力があり、その存在感はこれからも変わらないと思います。

そしてミックスに関しても、うまく説明するのは難しいのですが、レコードをプレイしている時の感覚は、自分にとってより純粋な喜びがありますし、デジタルよりも自然で効果的に感じることが多いです。

とはいえ、私はヴァイナルだけをプレイしているわけではありません。デジタルでもプレイしますし、その二つの世界を組み合わせるのが好きなんです。

レコードを買うのは高価なので、デジタル音源のように簡単に何でも手に入る環境とは違い、自然と選ぶ基準もシビアになります。

だからこそDJセットでは、その両方を使えるのが気に入っています。たとえば、30年前のレコードと、1週間前にスタジオで作られたばかりの新曲を組み合わせることもできる。そうやって表現の幅が広がるのが魅力ですね。


- DJ活動以外で、あなたのクリエイティビティを刺激するものは何ですか?

自分は良い意味で、とても影響を受けやすいタイプだと思います。

インスピレーションは、本当に予想もしない瞬間から生まれることがあります。誰かとの会話や場所、映画のワンシーン、旅先での体験、あるいは日常の何気ない出来事から刺激を受けることもあります。

創造性は、必ずしも音楽そのものから生まれるわけではなく、むしろ自分の周りで起きている“人生そのもの”から生まれることも多いと感じています。


- あなたにとって、DJとして大切なマインドとはどんなものですか?

これは自分にとって、とても大切なテーマです。

正しいマインドセットというものは、この情熱と長く向き合う中で、少しずつ理解していくものだと思っています。

ある時点で、それは単なる“趣味”ではなくなり、自分の人生そのものになっていく。だからこそ、その中でバランスを学ぶ必要があるんです。

自分は、何よりもバランスが大切だと思っています。

向上心を持ち続け、成長し続けることは重要ですが、同時に地に足をつけて、自分自身を守ることも必要です。

過程そのものを楽しみ、焦らず、なぜ自分が最初にこの道を始めたのかを忘れないこと。

音楽は“消耗されるもの”ではなく、人生と共に歩んでいく存在であるべきだと思っています。


- 2026年はどのような計画がありますか?

2026年は、自分にとってとても楽しみな一年になりそうです。

最近、ミラノのDuro Clubでレジデントを始めたばかりで、本当に参加できて嬉しい新しいプロジェクトです。さらに、Kappa Future Festivalへの出演も決まっていて、自分にとって大きな節目になると思っています。

同時に、新しい音楽制作にも取り組んでいて、スタジオで過ごす時間もかなり増えています。

これからも成長し続け、自分のサウンドをさらに発展させながら、DJセットにも新しいエネルギーを持ち込みたいと思っています。


- 最後に、今日ELLA RECORDSでプレイした感想を教えてください!


すごく良かったです。いい雰囲気のお店で、とても気に入りました。見た目も最高ですね。 昨夜遊びすぎて見てのとおり少し眠かったんですけど(笑)、うまくやれたと思います。みなさんにも楽しんでもらえていたら嬉しいです。

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Enrico Vivaldi

東京生まれ・ミラノ拠点のイタリア系レバノン人DJ/プロデューサー。長年にわたり熱心なレコードコレクターとしても活動しており、そのサウンドはダークさと多幸感の両面を行き来しながら、テクノ、プログレッシブ、トランスをはじめとした多彩な要素を通して、過去と現在の影響を織り交ぜている。
スピード感のあるリズムを軸に、催眠的なグルーヴと鋭くインパクトのある展開を行き来するプレイが特徴。自身の音楽性を絶えずアップデートし続けており、近い将来には新作リリースも予定されている。
これまでに、ダンスフロアとDJブースの両面で経験を積み重ね、自身のプロジェクト/レーベル「Reibu」を通じても活動を展開している。