- ビートライブを作成する際のご自身のアプローチ方法について教えてください。
このセットは、ビートを制作しているときの自分の気分や思索を表現したものです。
さまざまな雰囲気が融合しつつも、共通するエッセンスを持ったセレクションで、ソウルフルでどこかノスタルジックな流れになっています。
チルなテンポから徐々にエネルギーを高めていき、サンプリングやリズム、遊び心のあるライブエフェクトを交えながら、時空を旅するような感覚を作り出しました。
今回は、新旧のビートを織り交ぜながら、一つの物語を紡ぐような構成にしています。

- 新しい音楽を探す際に、どのような方法を好んでいますか?まだ実際にレコード店で音楽を探すのを楽しんでいますか、それともオンラインでの購入を好むようになりましたか?
僕はほとんどオンラインでレコードを買わないんです。やっぱり自分の手でレコードを掘って、時間をかけて“宝物”を見つけるのが好きなんですよね。
サンプリングに関しても、どんなレコードからインスピレーションを得るかは予測できない。まったく予想もしなかったレコードから生まれることもあるし。
それに、僕にとってレコードはそれぞれに歴史があるんです。どこで見つけたのか、その街や国、そして家に持ち帰ってどうサンプリングしたのか——そういう背景込みで、一枚一枚に物語があるんですよね。
ヴァイナルDJセットをプレイするときも同じで、僕の選曲は無限に広がるオンラインストアからではなく、実際の生活の中で出会ったレコードの積み重ねなんです。
だからレコード屋に通うし、友達から家族のレコードを譲ってもらうこともあるし、大きな中古ショップにも足を運ぶ。常にアンテナを張って、どこに行っても何か見逃さないようにしています。


- ビートメイキング以外で、あなたのクリエイティビティを刺激するものは何ですか?
僕はマルチディシプリナリーなアーティストで、常にクリエイティブなエネルギーが流れている感覚があります。自分はその“チャンネル”のような存在であり、そのエネルギーをさまざまな形で表現することができるんです。
今は特にダンス、B-boyingにも力を入れていて、その瞬間ごとの儚いエネルギーを、どの作品にも宿らせるように意識しています。また、過去やルーツ、歴史を探求し、それを今この瞬間にユニークでパーソナルな形として昇華させることにも大きな意味を感じています。そうした過程が、自分の内にある創造の衝動を引き出し、外へと解き放つ原動力になっているんです。そして何より、僕は自然から大きな刺激を受けています。森や海、動物たち、常に変化し続ける風景、そして完璧に調和したカオスのようなその在り方——そうしたものすべてが、自分の創作に深く影響を与えています。
- ビートメイカーとしてのキャリアをこれから始めようとしている方々に向けて、何かアドバイスはありますか?
キャリアについてのアドバイスは特にないですね(笑)。
でも、アートフォームを磨くためには、とにかくたくさんビートを作ること。それも、あまり考えすぎずに。大事なのは、自分のクリエイションに正直であること、ルーツや実験的なアプローチに対して好奇心を持つこと。
どんな音でもサンプリングしてみて、自分が本当に気に入る形にフリップする。まずは自分のために作ることが大切です。シェアするタイミングは、きっと自然に訪れるはずだから。



- 2025年は、どのような計画がありますか?
これからも、自分の道を歩みながら、創作を続けていきたいですね。
出会うすべての人や、今この瞬間を生きられることに感謝しながら、常に実践を重ねていく。そして、自分の情熱であるダンス、音楽、アートを通じて、これからも旅を続けられたらと思っています。具体的な予定としては、まもなく3作目となるヒップホップのコラボレーションブック『SCULTURE 3』をリリースします。
ブレイキンのプロセスや、それに関連するヒップホップ由来のアートフォームを取り上げた作品で、Tシャツと大規模なビートテープとともに、自分のウェブサイトで発表予定です。
3年かけて作り上げたプロジェクトなので、ついにシェアできることが本当に楽しみです。
さらに、仲間たちと一緒に、バルセロナとマルセイユでブレイキンのイベントも企画しています!ELLAチームの皆さん、丁寧に取り上げてくれてありがとう。これからの活動も応援しています。