- 今回のミックスに込めた思いやアイデアについて、お聞かせいただけますでしょうか?「HTGY 33/45 -8 Screwed」という何やら暗号めいたタイトルも気になります。
録音の一週間ほど前にELLA RECORDSさんにお邪魔して7inchを10枚ほど購入しました。今回のミックスはその時購入したレコードが中心となっています。45回転のレコードを33回転にして、さらにピッチも-8でプレイしているので(いつも通りのスタイルなのですが)このタイトルにしました。HTGYは幡ヶ谷のことで、勿論ELLA RECORDSさんがある場所ですね(そして自分のホームグラウンドであるFORESTLIMITのある場所でもあります)。
- スクリュー(曲の回転数を落として再生する手法)はAIWABEATZさんの代名詞ですが、スクリューの魅力はどんなところにあると思いますか?
メローやドープ、はたまたヘヴィーやスウィートなど、その音楽が持っている性質をより引き出すことができるところに魅力を感じます。あとはやはり誰でもできるところですね。最も簡単なREMIX / DUBなんじゃないかなと。特に通常の回転数でプレイしても面白く感じなかった曲が回転数を落として化けたときに興奮を感じます。
- スクリューに魅了されたきっかけを教えてください。
勿論DJ SCREWのMIX作品を聴いたときに!と言いたいところですが、実は最初はあまりピンと来なくて。でもその後自宅でCypress Hillの「Hits From The Bong (T-Ray’s Mix)」を33回転に落として聴いてみたら、ああこういうことかと。そこから一気にのめり込みました。
- スクリューでプレイすることの難しさはどんな点にありますか?
難しさは特にないですよ!誰でもできるので。ただ、そこに二枚使いの“チョップ”を入れようとしたら途端に難易度は上がります。本来スクリューとチョップはセットですから。自分の場合は“チョップ”の代わりにカバーつなぎ、元ネタつなぎ、同ネタつなぎを二枚使いに近い効果のスタイルとして取り入れてます。徐々にこのスタイルの面白さを築いていって今があるので、強いて言えば何かプラスモアのスタイルを作る難しさはあるかもしれません。
- 新しい音楽やレコードを探す際、その曲が“スクリュー映え”するかどうかは、実際に低速で試聴して判断するのですか? それとも原曲から直感的にわかるものですか?
このスタイルでDJをやっていこうと考えた時に、レコード屋さんで試聴する段階(初めて聴くとき)から回転数を落とすようにし始めました。そういうことを5年10年続けていると、原曲そのままで聴いても“スクリュー映え”するかどうか自然とわかるようになりました。
- DJ活動以外で、あなたのクリエイティビティを刺激するものは何ですか?
HIPHOPカルチャー全般です。今は特にラップのライミング(脚韻)に関心があります。英語のラップや英語詩におけるライミングと、日本語のラップにおけるライミングとでは良くも悪くも差が生まれてきているので、それを埋めるにはどうしたらいいか、ルーツに敬意を表しながらも自分たちの言語・文化に置き換えるにはどうしたらいいかということにとても興味があります。
- DJとしてのキャリアをこれから始めようとしている方々に向けて、何かアドバイスはありますか?
もしあなたがDJという存在や行為になにかしら興味があるなら、年齢などは気にせずにやってみたらいいと思います。自分も30歳になってから始めたので。また、DJに影響を受けたからといって必ずしもDJになる必要はありません。DJ的な手法や観点で何か別のことにチャレンジしてみてもいいかもしれませんね。
- 2025年~来年にかけては、どのような計画がありますか?
もうすぐ2025年は終わってしまいますが、soguraguraくんとFORESTLIMITで開催しているパーティー「iNiTiAL iMPACT」の第三回目が12/20(土)にあります。この日はSolvent Cobaltにゲスト出演していただき、1時間セットのライブを披露していただきます。また、来年1月には大阪・京都をミニツアーでまわるので、普段自分のプレイを聴く機会がない方にも遊びに来ていただけたら嬉しいです。