AFTER HOURS SESSION

Sakiko Nagai (Cosmos Records)

- 今日は普段お住まいのトロントから日本に帰国しているタイミングでAHSにご出演いただきました。もうトロントに移住されて長いのですか?
10年くらい経ちました。

- トロントでは、Whole Earth Record Store Mapでも取材させていただいた「Cosmos Records」のスタッフとして現在もたまにお店に立たれているそうですが、SakikoさんにとってオーナーのAkiさんはどんな方ですか?

最近は年に数回程度ですが入らせてもらっています。アキさんはすごく謙虚な方で、いつもフランクに話してくださるんですけど、当然ながらDJのことやレコードの知識がモンスターのような方なので、私はいまだに会うとなんか緊張しちゃいますね。でも、ご本人はそんなことを感じさせないくらい、すごく優しくて大らかな方です。


- それでは今回のミックスに込めた思いやアイデアについて教えてください。

私は普段ディスコ/ブギーを中心にやってるんですが、今日は私がトロントでやっているレギュラーイベントの雰囲気をそのまま持ってこられたらなと思って、80年代前半やポストディスコを感じて踊れるもの、ダンスフロアを意識しやすいものを持ってきました。そこに新譜もちょこっと混ぜたりしています。


- 今日プレイしたレコードの中で、あなた自身が特にかけたかった曲や皆に紹介したかった曲があれば、何枚か教えてください。

今日絶対かけたかったのはこれですね。Elusionの「Living on the Verge of Leaving」。私は普段から歌ものが好きなんですけど、その中でも結構アップリフティングな感じで、ちょっと魂に響く感じのあるこの曲がずっと好きだったんですけど、今までLPを持ってなくて。今回初めてDJセットに組み込めました。私は絶対かけたいなって曲をクロージングに持っていくことが多いですね。今日もラストのこの曲に向けて土台を積み重ねていく感じで組みました。

あとは、T.S. Monk「Too Much Too Soon」のシングルです。特に高いものではないんですけど、意外とかけてるDJはあまりいない気がします。他の曲の方が有名だったりすると思うんですけど、個人的にこの曲はヴォーカルもいいし、間奏のちょいダサな感じも含めて踊れる曲なので、私は普段からめっちゃかけます。「Sakikoといえばこの曲」って感じで、私のイベントに来たことある人は聴いたことあると思います。

もう1枚挙げるならこれかな。Vincent Arthur  & Dagombaの「Travel With the Music」。めっちゃ踊れるアフロディスコです。トロントのPrairie Recordsっていう、昔Cosmosのアキさんが働いていたレコード屋さんがあるんですが、そこで今働いている子が、これいいから聴いてみてって教えてくれました。86年にリリースされたアルバムに入っていた1曲のシングルカット。これは2024年のリイシューですけど、去年ぐらいからのお気に入りでよくかけてます。


- 現在のトロントのクラブシーンはどんな感じなのでしょうか?

ひと言ではなかなか難しいんですけど、ハコは結構ありますね。特にコロナ禍が始まる直前くらいにレコードをかけられるバーがちょこちょこ出来始めたので、そこに合う音楽をかけるDJ達の需要が生まれて、レコードが流行ってた90年代とかに活躍して今はセミリタイア状態だったDJたちが現場に戻ってきたという感じがあります。若い人たちもそれに合わせてついていってるというのが今のタイミングかもしれません。活気は結構あります。

- 今回久しぶりに東京に帰ってこられて、クラブシーンやレコードカルチャーの点で何か変化を感じたところはありますか?

今の東京ではレコ屋もクラブも、そこに住んでない人たちが楽しみたいその一瞬、をどうしても売りにしなければいけない状況が多くなったのだと感じます。なので私たちの心の救いや人間同士の繋がりを大切にしている場を見極める力が活きる時だと思います。


- 日本に帰国した際に必ず行く(行きたい)レコードショップはありますか?ある場合はその理由も教えてください。

大体大手はまわるようにしてます。今回初めて行けて嬉しかったのは茅ヶ崎にあるAmsterdam Records。大阪まで出かけた時にはGroovenut Recordsにも寄るようにしています。どちらも行けば必ず良いものがある安心感と散財する可能性が高いヒヤヒヤ感があります。笑 やっぱりDJがやってるレコ屋はDJにとって大切な勉強の場でもあります。


- レコードでDJをやることの魅力はどんなところにあると思いますか?

知れば知るほど無知を思い知らされる、一生の片想い感が私にとっての魅力です。あとレコードでDJすることはある程度人生を懸けた行為なので、その人の生き様がありありと見えて誤魔化しが効かないところも魅力の一つです。


- DJ活動以外で、あなたのクリエイティビティを刺激するものは何ですか?

宇宙について考えること、反骨精神、お香を炊くこと(最近のお気に入りは伽羅の香り)、お笑い芸人又吉さんのYouTubeチャンネルを見ること。


- あなたにとって、DJとして大切なマインドとはどんなものですか?

あくまでもお客さんが主役になる場を作れるように、そのイベントの間ずっと集中を切らさず柔軟に選曲すること。DJブースには目もくれずに向かい合って踊るお客さんたちを見るのが一番の幸せです。


- DJとしてのキャリアをこれから始めようとしている方々に向けて、何かアドバイスはありますか?

幅広いジャンルの音楽を聴き、いろんな現場に足を運ぶこと。レコード屋さんで先輩の話を聞くこと。音楽以外の芸術にも触れること。アウトプットの仕事だからこそ、インプットが大切です。


- 2026年はどのような計画がありますか?

今回初めてカナダ西海岸のバンクーバーでブッキングを頂いたり(Shoutout to Kozueさん)トロントより東のモントリオールには何回か遠征してるのですが、それに続けていろんな都市でDJしたいです。カナダ以外の国でのブッキング待ってます!

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Sakiko Nagai (Cosmos Records)

東京のナイトライフからトロントの音楽シーンへと活動の場を広げる Sakiko Nagai は、グルーヴ感あふれるサウンドでフロアを魅了している。
ディスコ、ブギー、ハウスを軸に、リズムとファンクを大切にしたセットを展開。
915 Dupont でのレジデントも好評で、シティポップやブギーの名曲を中心にヴァイナルでプレイしている。