-- 今日のDJセットのテーマやコンセプトを教えてください。
実は韓国でELLA RECORDSのセットを準備していた時は、「朝の時間帯だから、もう少しチルなセットにしよう」と考えていたんです。でも、そのあと友達と一緒にパーティーに行って、そのパーティーのテンションがまだ自分の中に残っていたので、今日は当初の予定よりも少しダンサブルな曲を多めに入れてプレイしました。
そして最後は、自分が一番好きな曲で、みんなが手を上げて楽しめるような雰囲気で締めました。

-- Patina Sound Systemとはどんなクルーなのか、教えてください。
Patina Sound Systemは、いろいろな場所で多様な音楽と出会える機会をつくることを目指しているクルーです。音楽をじっくり聴くクラブイベントは夜に行われることが多いので、昼の時間帯が好きな人たちにも音楽を楽しんでもらえるように、デイイベントを開催しています。
リスニングセッションやブランドとのコラボイベント、ダンスイベントなどでは、伝説的なクラブ「The Loft」でDavid Mancusoも使用していたヴィンテージスピーカー、Klipsch La Scalaを使っています。
-- 今日プレイした曲の中で、特にみんなに聴いてほしかった曲はありますか?
あります。韓国の빛과 소금(Light and Salt)というバンドの “오래된 친구 (Old Friend)” という曲です。これは父が昔集めていたレコードコレクションの中の一枚で、今日最後にプレイしました。「長い友達(Long Friend)」という意味合いの曲なので、韓国と日本が長く良い友人であってほしいという気持ちも重ねました。だから今日ここでこの曲をプレイできて本当に嬉しかったですし、オーディエンスの皆さんにも是非聴いてもらいたい曲です。
-- 何かもう1枚紹介してもらえますか?
もちろんです。僕の大好きな曲のひとつで、Ten City の 『That's the Way Love Is』 です。先ほどの曲の前にプレイしました。今日はジャケットは持ってきていないんですが、この曲は最初にアシッドっぽい雰囲気があって、そのあとにすごく美しいヴォーカルが入ってくるんです。

-- 韓国のクラブシーンは今すごく勢いがあると聞きます。実際、今の韓国のクラブシーンについてどう思いますか?
そうですね。韓国の人たちだけではなく、今はみんなが以前よりもいろいろな音楽に対してオープンになってきていると思います。そして、メインストリームだけではなく、ディスコやファンク、R&B、ソウルなど、多様な音楽を受け入れるようにもなっています。
あと最近の韓国では、それぞれが自分らしいスタイルを見つけようとしている人が増えていると感じます。以前は誰かのスタイルを真似することも多かったと思いますが、今は一人ひとりが自分自身の音楽性を持とうとしているからこそ、韓国のアンダーグラウンドなクラブシーンもどんどん盛り上がっているんだと思います。
いろんな音楽を求める人が増えているので、韓国のクラブシーンは今、本当に勢いがありますね。ぜひ遊びに来てほしいです。
-- 韓国のクラブではどんな音楽が人気なんですか?
アンダーグラウンドでは、今はミニマル・テクノが一番トレンドだと思います。もちろん、僕みたいにディスコやハウスが好きな人もたくさんいます。
-- 韓国のレコードショップは今どんな感じですか?
日本ほど数は多くありませんが、いいレコードショップはいくつかあります。ハウスやテクノなどのアンダーグラウンドミュージックを扱っているお店もあります。
それとは別に、おじいさんたちが営んでいる昔ながらのレコード屋さんもあります。新堂洞(シンダンドン)にあるお店なんかは、レコードにホコリがたくさん積もっていて、マスクをして入らないといけないくらいなんですが(笑)、そういうお店で店主のおじいさんと話すのがすごく楽しいんです。
最近は韓国でも若い人たちがレコードに興味を持ち始めているので、レコードショップに足を運ぶ人もどんどん増えています。

-- DJ活動以外で、あなたのクリエイティビティを刺激するものは何ですか?
実は大学では演技を専攻していて、今も演技の学校に通っています。以前はDJとしての活動と俳優としての活動を両立するのが大変だと感じていたんですが、ある日、このふたつは実はそれほど違わないんじゃないかと思うようになりました。演技もDJも、自分自身を表現し、観客にストーリーを届けるという点では共通しています。その共通点が、このふたつの異なる表現をひとつにつないでくれていて、どちらも僕に創造性を与えてくれるだけでなく、前に進み続けるためのエネルギーにもなっています。
-- あなたにとって、DJとして大切なマインドとはどんなものですか?
最近は、「楽しむこと」が何より大切だと思っています。ただDJをするだけじゃなくて、レコードをディグしたり、コレクションを整理したり、昔見つけたのに忘れていた曲を聴き返したり、好きなDJのプレイを聴きにクラブへ行ったり。そういう時間も全部含めて大切なんです。
僕はDJとして、そういう一つひとつの時間がすごく大事だと思っていますし、その時間を心から楽しむことが、次のDJにつながる原動力になっています。結局のところ、誰かにDJをやれと言われているわけではなく、自分がそういう思い出や新しい体験を楽しみたいからDJを続けているんです。
-- DJとして見た日本のレコードカルチャーやクラブシーンについてはどう思いますか?
本当に大好きです。今回で日本に来るのは5回目なんですが、来るたびにたくさんのエネルギーをもらいます。音楽の楽しみ方や、レコードカルチャーを大切にする姿勢が本当に素晴らしいです。
今回最初に行ったレコードショップはディスクユニオンでした。仕事帰りだと思うんですが、スーツ姿の人たちがレコードを掘っている光景を見て、「なんてかっこいいんだろう」と思いました。
韓国ではレコードを掘りに来るのはDJや一部の音楽好きが中心なんですが、日本では街を歩いているとみんながディスクユニオンの袋を持っている(笑)。本当に音楽への愛とエネルギーがあふれている国だと思います。
-- 最後に、今日ELLA RECORDSでDJをした感想を教えてください。
実を言うと、ELLA RECORDSは僕の好きなレコード関連メディアのひとつなんです。お世辞じゃなく、本当に好きなんです。ELLA RECORDSのYouTubeを見て、たくさんのレコードショップを知ることができました。
今日のセットは、最初は少し緊張していたんですが、途中から「もういいや、音楽を楽しもう」と思って、本当に楽しくプレイできました。今回がこの日本ツアー最後のDJだったんですが、本当にたくさんのエネルギーをもらいました。皆さん本当にありがとうございました。