AFTER HOURS SESSION

Frankie $

 

- 今日はありがとうございました。今回のミックスにテーマはありましたか?

ある程度変なレコードをかけようと思って、ディグしない限りあんまり入ってこないようなものを。でも、なんか基本的にあんまりセットは組んでくることはないんで、少し自分が想像したのと違ってましたが...。最初らへんは、90年代初期らへんでライトに始めて、どんどんビートがしっかりしてくみたいな感じですね。


- なるほど!最後はかなりトランシーにまとまってましたね。クラブでのプレイはもちろん、YouTubeとかSoundcloudの配信もされてると思うんですが、それぞれのミックスのアプローチの仕方は決まっているんですか?

YouTubeとかsoundcloudは割と似ていて自分としてはトラックIDは別に共有したくないんだけど、音楽は共有したい。っていう。ジャンル紹介みたいなシーンは結構多くて100% Garage Houseみたいな。気になる人が聴いたら勉強になるっていう意識ですかね。あとは簡単に録れるんで、レコードがたくさん届いて何か溜まってきて発散したい時にミックスする。その時は特にテーマって決まってないんで名前は???なんですけど、いずれにしても着地はある程度見えてる。クラブもそうなんだけど、先に曲の順番を決めることも一切なくて、自分の部屋はバイブだったり、ジャンルでレコードがいい感じに整理されてるんで、その中でこれだ!ってなる。結局、即興でしかやらない。


- 提供するミックスとかもそういう形なんですか?ある程度ライブ感を保ったまま?

ラジオもクラブっぽい感じになるんですけど、基本的にsoundcloud、YouTubeはクラブじゃないんで、リスニング色強めに作れるので普段クラブだったらちょっとプレイするのが怖いなって曲も入れますね。

 

- ありがとうございます。次の質問です。曲を探す時にどういう方法が好きですか?それこそデータとかアナログとかあると思うのですが。

 

そうですね、自分の価値観として1番原点に戻りたいっていうか。人のミックスを聴いてShazamしてってやると、そのミックスを作ったDJがすでにキュレーションしてくれてるじゃないですか?もしかしたらそのDJも別のDJのミックスを聴いてその曲を〜って、ずっと擦られてる可能性もあるんで、人のミックスとかじゃなくて、原点に戻ってDiscogsのデータベースみたいな、完全にニュートラルなところから、自分の歴史とか知識だったり、ジャケがいいとか、そういうスタートラインがすごい前の方にあるようなディグの仕方をしているんですね。なるべくそこに近づいた方が、自分の音楽で出張したいものを出せるんですごい大事だなと。


- なるほど

現行の音だったらちょっと違うんですね。例えばダブステップでDJしてた時に現行のシーンがあって、その週のアンセムがたくさんあったわけなんで、それを無視するわけにもいかないし、生きてるシーンなんでそれをサポートしつつやってたんですけど、今はやっぱこれっていう、俺がすごくいいなと思ってるシーンがないというか。今正直新しい音楽は別にないし笑


- 確かに。

それで音楽のディグの仕方がすごく変わった。今週の新しいリリースからっていうスタンスよりは、 俺しか掘り出せないすごい労力かけて見つけ出したやつを自分の目線で組み合わせてプレイするっていう。

 

 

- お店としてはどういったところへ行かれますか?

ディスクユニオンが1番多いですね。下北沢に住んでるので。今1番気に入ってるのはRANA-MUSICA RECORD STOREですかね、セレクトが良くって。


- そこでもUK GarageとかUK Houseを中心に買うんですか?

いや、全然買わないっす。


- どういったものを探すんですか?

幅広く買ってるので、今日みたいなUSの93〜94ぐらいのハウスだったりとか。そこまでUKにこだわりはないですね。今は選べないですし。昔のTechniqueとかにはUK Houseのセクションがあったんですけど。

 


- なるほど!DJ以外の活動も含めてインスピレーションを得るもの、クリエイティビティが刺激されるものってありますか?

インスピレーションで言ったらなんだろうな?自分の趣味って服と音楽なんですね。音楽ってやっぱりサンプリングとかあったりするじゃないですか。その90年代のR&BのボーカルをUK Garageで使うとか。服も軍服の、この時代の、この国のポケットとか、ブランドのこの時期をサンプリングしてっていうのがあるので、全然違うものなんだけど、心が一緒っていうか、うん。それが結構インスピレーションになってるかも。


- それをDJにフィードバックするとか、そういう感じでですか?

あんまり考えたことなかったんだけど、俺が何かをDJにフィードバックすることって一切ないんですね。思いつきみたいな感じで、自分の中にすでにあるものにどんどん近づいてるみたいなことはたまにあるけど。音楽、音楽!ってずっとなってるから、むしろ音楽について考えたくないから自然とそっちの方がいいかも。


- 完全に遮断するじゃないけど、全く関係ないところに行ってリフレッシュして戻ってくるって感じですか? 

インスパイアっていうよりはやっぱモチベなんですよね。人に俺がやばいと思った音を聴かせて、その人がやばいってなってるのを見た瞬間に、「ほらな」みたいな笑


- 笑

そういうのってすごく気持ちよくて。

 


- これからDJを始める方とか、キャリアをこれから積んでいこうっていう人に向けて、アドバイスはありますか?

そうですね、1つ絶対的に断言できるのが、DJを初めて早い段階で認めてもらえる人って多分例外なくクラブに足を運んでたくさんDJを見てる。そういう人たちって、やっぱりクラブにずっと遊びに行ってる。それも別に焦ってなくて説得力あるっていうか、温度感でわかるんですよね。そういうのがないと多分なんなのかわかんないと思う。たまに「DJになりたいんだけど、どういうジャンルがいいと思いますか?」みたいな人がいるんですけど、あれはもうDJしなくていいよって笑


- やりたいことが明確になってからDJはやった方がいい?

そうですね。自分は2個上の姉がすごい早い段階で電子音楽にハマってて、全部教えてくれて。まだちゃんと脳みそできてない状態でワープレコーズとか聴いてるから多分こうなったと思うんだけど、やっぱり住んでいたのが田舎なんで、DJになりたいとかDJになれるなんて想像したことすらなかった。もう普通に音楽が好きで、大学に行ったら自分にもできるんだみたいな感じで始めたから、音楽に対する強烈な愛が前提にないと後々きついと思うんですよね。DJってそんな楽しいことばっかじゃないんで。


- しかも長くやるって考えると、モチベーションの保ち方とかも、やっぱり音楽がありきじゃないと厳しそうですよね。

趣味としてコントローラー買うぐらいだったら全然あれですけど、タンテ2台とレコード買いますって感じだったら、やっぱ考えた方がいい。レコードってやっぱりめちゃくちゃ高いし、スペースもとるし。でも1つ絶対に言えるのが、レコードでDJした方が耳が良くなる。CDJでやっていた時期があったのでわかるんですよ。その、全員じゃないけど、例えば自分のセットの最後のレコードをその次のDJが繋げるか繋げないか。同じことなのに。なんか繋げない人は多分8割ぐらいいて。


- そうなんですね...。

それってCDJの波形だったりビジュアルの情報が色々あるんで、俺もCDJでやった時にどんどん耳がダメになってて、それに気づいた時に、あ、やばいなと思ってレコードに戻したわけで。CDJでやるんだったらあの波形とBPMを消して、完全にフィーリングでやらなきゃいけない。波形を見るとブレイクの部分とか、落ち着いてくるところがあるじゃないですか。それで、じゃあそこに入れようかってなる。もしそれがわかんなかったら、フィーリングでここだみたいな感じで入れるわけ。それが実は正解で、その曲に合わせる必要ないし。あと、なんかやたらループ使ったりとか、誘惑が多いんですよね。


- フィーリングってクラブで一番大事なとこですもんね。

だからスタジオを借りて、ちょっとレコードでやるぐらいで全然いいんですけど。レコードでやるとすごく早くその部分のスキルを伸ばせると思う。そのスキルをCDJにも全然応用できるんで。 

 



- それでは最後の質問なんですけど、これからの計画とか予定とか、野望的なことってありますか? 

そうですね。昔、House Not Houseっていうパーティーをやっていたんですけども、1回コロナでバッドに入って休止してたんですけど、2024年後半ぐらいからまたオーガナイズを再開して、新しいクルー名で僕ともう1人でイベントを計画中です。まだオフィシャルにはできないんですけど。


- 楽しみです!

プレイヤーだけってシーンに対する貢献度が若干低いのかなと思ってて、なんか自分のスタンスがあるんだったら、それは形にしないとなっていう気がします。あと、1番はフェスにも出たいですね。自分でコントロールできることじゃないんですけどね...、神様にお祈りします笑

ブログに戻る
Frankie $

DJ / プロデューサー / プロモーター。
2012年にイギリスから東京に移住。Rainbow Disco Clubへ出演を果たし、Toreiレーベルからのリリースはクラブシーンのオーディエンスから厚く支持を得ている。

レコードを5000枚を所有してるマニアックなディガーでもあり、ダークでフューチャリスティックなUKミュージックに情熱を傾け、DJセットはクラッシクハウスからガレージ、そしてブレークビーツからレイヴまで幅広いジャンルを自由に横断する。