-今回のミックスに込めた思いやアイデアについて、お聞かせいただけますでしょうか?
いつものミックスと同じように、今回も明確なコンセプトがあったわけではありません。僕たちの準備は、日々のレコード探しそのもの。常にセットに加えるのにふさわしい、最も面白いトラックを見つけたいという気持ちで掘り続けています。
ただひとつ言えるのは、今回は長旅になるということもあって、持っていくレコードの量をかなり厳選せざるを得なかったということですね。普段、僕たちはそれぞれ2~3個のレコードケースを持参してプレイします。そこには自分たちのこだわりのセレクションや、毎週更新している新譜などが詰まっています。
- 双子の兄弟でDJユニットを組もうと思ったきっかけは何ですか?
子供の頃、私たちは父親に音楽を教わり、レコードの使い方や集め方を学びました。父は私たちにとって、プログレッシブ・ロック音楽のバイブルのような存在です。成長する中で、ダンスミュージックの世界に引き寄せられ、その世界の裏に隠されたものを発見することに対する熱い情熱を友人たちと長い間共有してきました。デュオはその後、強い情熱に触発されて、自然と結成されました。



- 2人のうち、音楽やレコードに先に目覚めたのはどちらでしたか?
子供の頃、私たちはとても早い段階で音楽に魅了されました。90年代のダンステープを集め始め、その後、ヨーロッパのクラブで何年にもわたる経験を積んでクラブ文化の世界に入っていきました。2000年代初頭には初めてのレコードレーベルを立ち上げ、その後、様々な音楽ジャンルを深く収集し、鑑賞する世界に足を踏み入れました。
- 2人の音楽趣味には共通点が多いですか?あるいは異なる部分がありますか? 音楽面で互いにインスパイアされる点があれば教えてください。
私たちは音楽の趣味が似ている部分もあれば、異なる部分もあります!そして、特にその違いをうまく活かして仕事をする方法を学びました。理解できない人もいるかもしれませんが、私たちの強みは双子であること、そして兄弟間に自然に育まれる直感的な感覚にあると考えています。それが、私たちがお互いを超え、さらに成長する手助けとなっています。ルカはダンスミュージック寄りのセレクションを提案する傾向があり、私はラテン音楽やアフロ音楽により傾倒していますが、どちらもミキシングというコンセプトに結びついています。これらの違いが、互いにインスピレーションを与え合う要因となっています。
- DNArtとしてDJをする際に持参するレコードは、FrancescoさんとLucaさんそれぞれが自分の所有するレコードから別々に選んでいるのですか?それともレコード全体が二人の共有物で、一緒に選んでいますか?
私たちはそれぞれ個別にコレクションを持っており、セットについて事前に話し合い、時には一緒に試して選び抜いたものを大切にしています。また、最近では共通のコレクションも始めており、そこからいくつかの宝物を取り出して、セットに特別なアクセントを加えています。

- 事前に二人でプレイするものやサウンドの方向性の擦り合わせはどの程度行うのでしょうか? プレイへのアプローチ方法について教えてください。
私たちは、やるべきセットに基づいてトラックを選び、その後スタジオで数時間練習してセットを微調整します。しかし、実際にはほとんど練習しないことが多く、ほんの少ししか行わないこともあります。その時々で、直感に従ってプレイすることが重要です。このような場合、自分のレコードをしっかりと理解しておくことが大切です。
- 新しい音楽を探す際に、どのような方法を好んでいますか?まだ実際にレコード店で音楽を探すのを楽しんでいますか、それともオンラインでの購入を好むようになりましたか?
私たちにとって音楽を購入する方法に決まったものはありません。レコード店、日曜市、オンラインストア、レコードフェア、どこであれ、どんな形でも購入を拒むことはありません。常に心が震えるようなものを探し続けています。
- イタリアのレコードカルチャーの現状について簡単に教えてください。
現在イタリアでは、レコードはDJやコレクターの間でかなり人気があります。多くの人がヴァイナルに関心を持っており、毎週のようにリリースがあり、このムーブメントはここ3〜4年で確実に成長しています。
ただし、付け加えるべきなのは、時として作品が文化的な共有を目的とせず、単なる販売目的でリリースされることがあるという点です。これによって、文化的な意味を欠いた市場が形成されてしまい、それが少し残念であり、何より建設的ではないと感じています。


- DJ活動以外で、あなたたちのクリエイティビティを刺激するものは何ですか?
フィレンツェにある僕たちのレコードショップは、間違いなく自分たちにとって最も刺激的な場所です。音楽を愛する人々やコレクターたちと共有することが、日々の創造力を高めてくれるんです。
それに加えて、世界中を旅することも見逃せない大きな刺激ですね。国際的なレベルで他のDJや小さなアンダーグラウンドの現場と触れ合える機会を与えてくれます。そうした体験を通して、自分たちの経験をシェアできるし、他の文化についてもたくさん学べる。本当に最高のことじゃないですか?
たとえばここ日本での滞在は、僕たちにとって言葉では言い表せないほどインスピレーションに満ちた体験になりました。
- DJとしてのキャリアをこれから始めようとしている方々に向けて、何かアドバイスはありますか?
レコードは慎重に選んでください。そしてこの世界を深く理解する手助けをしてくれるような人たちと、できるだけ多くの時間を過ごしてください。どこにでも掘りに行って、立ち止まらずに、深く掘って、音楽への飽くなき情熱を持ち続けてほしいです。
ナイトライフやリスニングバーに、誰かのように見せるため、イメージのためだけに足を踏み入れようとしないでください。まず音楽を大切にすれば、あとのことは自然とついてきます。
笑顔を忘れずに。ナイトライフを情熱をもって楽しんでください。本物の何かに貢献する喜びのために、自分の街のために、クラブ文化のために、そして自分自身のために。