AFTER HOURS SESSION

Danny Scott Lane

- 今回は、あなた自身の楽曲のみをこれまでリリースした5枚のアルバムからミックスしてくれました。それぞれのアルバムの特徴やコンセプトを簡単に教えてください。

Caput (2021)

僕はカリフォルニアの砂漠で 『Caput』 を制作しましたが、そのとき実はニューヨークをとても恋しく思っていました。そういう意味では少し矛盾した作品なんです。ジョシュア・ツリーにある家にひとりで1週間ほど滞在して、地下鉄に乗ったり、ブルックリンの友達のアパートに遊びに行ったりする自分を夢見ていました。アルバム自体は西海岸で録音したので、ホーンはぜひ東海岸のミュージシャンにお願いしたいと思い、David Lackner に声をかけました。彼はそれ以来、大切なコラボレーターとなり、『Caput』のミックスも手がけてくれました。


Wave to Mikey (2022)

『Wave To Mikey』 は、親友のひとりである Mikey へのラブレターのような作品です。しばらく会うことも、いつものように話すこともできていなくて、彼が恋しかったんです。僕たちの友情の中心には常に音楽があったので、彼に捧げるアルバムを作るのは素敵だろうと思いました。実は今、次のアルバムを彼と一緒に制作しているところなんです!

Home Decor (2022)

このアルバムを作ったのは、ちょうど新しい家に引っ越したタイミングでした。その頃は部屋のインテリアに夢中になっていて。もともと家にいるのが好きなんですが、パンデミック中だったので “究極のおうち時間” みたいな感じでしたね。 自分にとって神聖で、個人的なオアシスのように感じられる空間で音楽が流れているのって、すごく心地いいなと改めて思ったんです。制作中も自然にその音楽が空間の一部になっていって、それがとても意味深く感じられました。その感覚をできるだけ詰め込もうと心がけました。

Shower (2023)

これは『Home Decor』をもっとフォーカスしたような作品です。僕、シャワーが本当に好きなんですよ!あんまり説明のしようがないんですが(笑)。シャワーセックスとか、ジムの後のシャワーとか、ビールを飲みながら浴びるシャワーとか…そういうのが大好きなんです。
 
Songs for Sex (2025)

このアルバムを作ったのは、久しぶりにシングルになった時期でした。セックスがまるで新しいもののように感じられて、友人たちとの会話のテーマにもよく出てきたんです。熱いトークをしたあと、その勢いのまま家に帰ってデモを作ったりしていました。正直、このタイトルにはちょっと後悔している部分もあります。というのも、実際はどんなシチュエーションでも聴けるいいアルバムだからです。ただの“セックス・アルバム”と思われたくはないんですが、まぁいいか。僕らみんな、常にセックスが好きですからね(笑)。地下鉄に乗っている時にだって、自分が一番セクシーに感じる瞬間があるんです。


- 今回のようにご自身の作品だけをプレイするスタイルのDJはよくやっているのですか?

いえいえ、全然そんなことはないです!ときどきDJはしますが、自分の曲だけでプレイしたことは一度もありません。プレイリストの中に自分の曲をちょっと混ぜるくらいですね。僕は自分のバンドを持っていないので、自分の音楽を伝えつつも、自分にとって心地よい形でライブをやるにはこの方法がちょうどいいんじゃないかと思ったんです。


- 自分の曲だけをかけることによって自分自身で新たな発見があったりはしますか?

実はそうなんです、ちょうど質問されて面白いなと思いました。日本と中国でこのミニツアーを終えて、自分の音楽を最初のマインドセットに戻したいという強いインスピレーションを感じています。いまはボーカル入りの初めてのアルバムを仕上げているところで、よりグルーヴにフォーカスした作品です。それを作り終えたら、もっとアンビエントで空間的な作品に取り組みたいと思っています。

- 様々なアーティストの楽曲をミックスする通常スタイルのDJはよくやりますか?また、その際はどんなジャンルのレコードをかけることが多いですか?

やりますけど、そんなに頻繁ではないですね。自分のことをDJだとは全然思っていません。ただ、やるときはすごく楽しんでいます。選ぶのは主にダウンテンポやアンビエント・ジャズ、ラウンジっぽいものに、少しハウスやエレクトロニカを混ぜたり、時々ちょっとファンキーなファンクやディスコもかけたりします。でも決してハイプすぎる方向にはいかないですね。全体的にかなりチルなアプローチです。ビートマッチとかは特にせず、ただ流れに身を任せる感じでやっています。

- 新しい音楽を探す際に、どのような方法を好んでいますか?まだ実際にレコード店で音楽を探すのを楽しんでいますか、それともオンラインでの購入を好むようになりましたか?

これはもう、ずっと一生の執念ですね。レコードコレクションはドアからはみ出しそうなくらい増え続けてるし、常にオンラインで音楽を探しています。ちょっとビターな話かもしれないけど、正直「お気に入り」という感覚がもうなくなってしまったんです。悲しいことなのかな?常に新しいものを探してしまうんですよね。レコード屋で3時間くらい平気で過ごせるし、Discogsのフィルタリング技ももはや科学レベルに極めちゃいました。


- あなたのようなスタイルの音楽は、日本では“アンビエント・ジャズ”などと呼ばれて静かな人気を博しています。それについてどう思いますか?また、アメリカやヨーロッパでは、こういったサウンドはどんなジャンルで形容されることが多いですか?

これは自分の中でも揺れ動いているテーマですね。よく「アンビエント・ジャズ」という言い方を耳にするし、アメリカでもヨーロッパでも同じように使われていると思います。響きとしてはいいんだけど、正直、自分の音楽はその二言では収まらない気がしていて。なので時には「ダウンテンポ」とか「ミニマル・エレクトロニカ」なんかを混ぜて説明したりしています。


- あなたの作品には日本でも人気のJohn Carroll KirbyやJoseph Shabasonも参加しています。こういったミュージシャン達との親密な音楽コミュニティが現地には存在しているのですか?

私は彼らと一緒に仕事ができて本当に楽しかったです。ジョンとは音楽と写真の交換をしたこともあります(笑)。彼のプレス用写真を撮ったり、逆に彼が僕の曲でシンセを弾いてくれたり。彼は素晴らしいプレイヤーです。そしてジョセフ・シャバソンは、僕の最初のアルバム『How To Empty A Cup』で快く演奏してくれました。彼は僕の3枚のレコードに参加しており、『Wave To Mikey』のミックスも手がけています。この二人、ジョンとジョセフはどちらも素敵でハンサムな方たちです。

それから、友人のサイモン・ヘロディのアルバム『Hard Lounge』が日本でも話題になっているのを見て嬉しかったです。あと、デヴィッド・ラックナーのプロジェクトYAIもぜひチェックしてほしいですね。アルバム『Sky Time』は本当に素晴らしいです。

ただ、僕自身は特定の音楽シーンに属しているわけではありません。時々「シーンにいたら面白いかも」と思うことはありますが……。写真のシーンにも特に所属していません。高校時代の友人たちと今でもよく会いますし、ほとんどの時間は妻や家族と過ごしています。

- あなたはミュージシャン以外に、フォトグラファーや俳優としての顔も持っていますが、どんなものにクリエイティビティを刺激されることが多いですか?

僕にとっては、すべてがひとつの大きなものとしてつながっています。「あの一つのこと!」みたいなものはなくて、創造性はいつもそこにあって、何もかもがインスピレーションになります。時には突然泣きたくなることもあって、そんな時に「曲を作るべきか、フィルムを1本撮るべきか、髪を切るべきか」と迷うこともあります。伝わりますかね?

 

- ミュージシャンとして、2025年はどのような計画がありますか?ミュージシャン以外の活動でも告知などあれば教えてください。

新しいLPはだいたい70%くらい完成しています!まだタイトルは決まっていません。それと新しいコラボレーターとして、Mikeyが参加します!『Wave To Mikey』のMikeyです。そしてDavid Lacknerがフルートとシンセをすべて担当してくれています。面白いアルバムになりそうで、すごくワクワクしています。

それから、新しいハードカバーの写真集『LANE』も出ました!実は世田谷のKankyo Recordsで3冊だけ販売中です。急いで!

あとは、日本と中国で撮ったフィルムが戻ってきたので、新しい写真シリーズをどこかで発表できるようにまとめるのが楽しみです。お楽しみに。

 

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Danny Scott Lane

ニューヨーク出身のミュージシャン/プロデューサー。ソロアーティストとして8枚のアルバムをリリース、長編映画や短編映画、ファッションプロジェクト、コマーシャルなどの音楽も手がけている。